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7.2.13

アリーのエチオピアウルルン滞在記♫ ~現役jaih-s運営委員が海を越え、Global Healthの今を伝える~ 第8回



ブログをご覧の皆様、大変お待たせいたしました。
実は昨年中に、エチオピアから帰国しておりました。投稿が遅くなってしまった事、お詫び申しあげます。
さて、エチオピアブログ第8回目は、私が研究を行なっていた母子保健分野、特に「分娩」ついてお話させて頂きます。

エチオピアの妊産婦死亡率(Maternal Mortality RateMMR)は、出産10万件に対して590と高く、新生児死亡率も出生1000件に対して390と、他のアフリカ地域と比較しても高い現状です。また、熟練介助者(医師、看護師または助産師)による出産介助率は6%であり、エチオピアの妊産婦の94%は自宅分娩を行っています。更に出生前検診(Antenatal Care: ANC)の受診率が1回のみでも28%と低く、2015年までにミレニアム開発目標5Millennium Development GoalMDG5)を達成することは困難と言われています。


MDG 5】妊産婦の健康の改善
2015年までに妊産婦死亡率4分の3減少させる。
2015年までにリプロダクティブ・ヘルスへの普遍的アクセスを実現する。

 
 






エチオピアの保健省が、2004年より健康普及促進プログラム(Health Extension Program(HEP))を開始し、プライマリー・ヘルスケアシステムの強化・拡大のために全てのヘルスポストに教育を受けた健康普及促進員(Health Extension Workers (HEWs))を配置したのですが、HEPの教育に含まれる家族健康サービスについては、予防接種の実施などに焦点が当てられており、妊産婦保健分野の活動はあまり機能していないのです。

母子健康改善が必要とされる中、私が滞在していたアムハラ州の農村部では自宅分娩が圧倒的多数を占めていました。トレーニングを受けた介助者による出産介助率が極めて低いうえ、伝統的産婆(Traditional birth attendants (TBA))が出産中に母親のお腹をマッサージする、出産後すぐに新生児の沐浴をするなど幾つかの自宅分娩慣行の問題も指摘されていました。このような状況を踏まえて、私の研究ではアムハラ州農村部における妊娠・出産に関する認識、知識や行動を探求し、自宅分娩における問題点の探求及び安全な出産の実施を模索すること目的として、インタビュー調査を行いました。

調査してわかったこと、それはお母さんたちが「出産は問題がない限り自宅で行われるものである」という認識を持っていることでした。その上、例え施設分娩をする意志があっても、突然おこる陣痛、夜の出産、陣痛がある中施設にいけないなどの理由がありました。教育レベルも非常に低く、ほとんどのお母さんは学校に行ったことすらありませんでした。また、家での決定権は夫に託されており、施設へ行くにも夫の許可がいるという意見が多数でした。
自宅分娩をしているお母さんたちを支えていたのは、TBA。彼らは出産経験のある女の人がほとんどで、自らの経験から出産サポートを学んだ人達でした。ですから、まともなトレーニングは一切受けていません。彼らによって「生まれてまもない新生児にバターをあげる」などの文化的慣行も行われていました。また「出血はタラ(地ビール)やシルバーのアクセサリーを噛むことで止まる」と信じている母親やTBAもいました。文化的背景は軽視されがちですが、彼らの認識や知識を把握しなければ、対策を講じようにもうまくいかないのです。

日本では施設分娩が当たり前で、妊産婦死亡率は世界一少ないのです。ですから、中々この地域の現状は想像がつかないと思います。私自身、この地域での調査をするまで施設分娩はなぜそんなにうまくいかないかわかりませんでした。しかしこの調査を通して、もしこのような状況にいたら、私も自宅分娩を行なうと思ってしまいました。
施設分娩は世界の潮流ですし、この流れは止められないと思います。しかしこの状況を踏まえて、いかに自宅分娩を安全にするにするかという対策を講じなければいけないと思いました。正常分娩は90%以上を占めると言われ、問題が起こる方が珍しいのですが、この問題を解決しない限り妊産婦死亡率は減少しないのです。

尊い命を1つでも救うためには、HEWsの働きが大変重要になってきます。なぜなら彼らが地域内で簡単ではあるものの医療サービスを唯一提供できるからです。私が調査していた村は8770人の村人が住んでいて、それに対してHEWsは3人でした。絶対数は確実に足りてないのですが、彼らの健康教育活動や医療サービスによって、PHCを受けるようになった事や村人の健康に対する意識が向上した事は確かです。彼らの活動がより広く地域に認知され、TBAsHEWsが協力して妊産婦を支えられる地域づくりがこれから必要であると感じました。

母親のためそして子供達のためにも、一刻も早く状況が改善されることを望んでいます。

さて、今回は母子保健についてお話させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
10回を予定していたブログですが、次回9回目で終了させて頂きたいと思っております。
最終回は、「エチオピアから私自身が学んだこと」についてお話させて頂きます。





*おまけコーナー*


「チャイナくん」肌が少し白めで外国人みたいだったことから、チャイナと名付けられた。(彼らにとってチャイナは外国人を意味する)
「ジャパン」にしたら?と提案してみたが、時すでに遅し(笑)


HEWsが予防接種をしている様子。
子供達は皆私を珍しそうにみています。



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